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予告編を再度載せておきますが、まだ映画をご覧になっていない方は観ない方がいいかも。私は9月以来目にしていなかったにもかかわらず、この予告のネタバレのせいで先が読めて若干残念な思いをしましたので。
今観ると「なんだこれ、全部見せちゃってるじゃん」と思っちゃう…(´▽`;)
ネタバレのせいでスリルが少し薄れたのが残念ですが、それでも十分楽しめました。
「楽しめる」と言うと語弊があるかも…「楽しい」種類のお話ではないから。
でも、暗い題材でありながらもストーリーに完全に引き込まれ、登場人物に感情移入しきって泣いたり笑ったりすることができたのだから、「映画として楽しめた」と言えます。
その「題材」というのが、たまに聞く「長期に渡る少女誘拐・監禁事件」。これが完全なるフィクションならまだしも、現実にこういう事件がちょくちょくあるんだから、つらい。
実際、原作者(これ、同名小説の映画化です)も実在の事件に「インスパイア」されてお話を作ったんだそう。
でも、本作は何より役者さんたちの演技がすごかった。
9才になったばかり(撮影時は7〜8才なのかな?)のジャック役、ジェイコブ・トレンブレイくんにアカデミー主演男優賞をあげたいほど。
母親「ジョイ」役のブリー・ラーソンもすばらしく、2人はすでにゴールデングローブ主演女優賞、放送映画批評家協会賞(Critics Choice Awards)主演女優賞・若手男優賞受賞を受賞。ほかにも1/30発表のSAG主演女優賞・助演男優賞にノミネートされるなど、さまざまな賞レースに引っ張りだこなのも納得です。
昨日(1/17)の放送映画批評家協会賞授賞式でのスピーチ↑
そのような演出をした監督さんもすごいんだろうなあ、監督賞に値するんではと思ってたら、アカデミー賞の監督賞にノミネートされたのね。同賞にはブリー・ラーソンも主演女優賞にノミネートされましたが、ジェイコブくんはスルーされて悲しい(;_;)。
以下、ネタバレ含みます。
ネタバレ予告編のせいで「スリルが薄れた」のは、ジョイ母子が監禁されていた「ルーム(部屋)」からいずれは脱出(あるいは救出)することがわかってしまってたから。
しかし、わかってはいてもハラハラ〜〜〜!
まさかあんな突拍子もない危険な賭けに出るとは思わなかったし。
息子をカーペットでぐるぐる巻いて「息子が死んだから運び去ってほしい」って(゜o゜;)
「絶対に中を見るな」と約束させたと言っても、実際に見ない確証はないし、すなおにトラックで運び出さず庭に埋めちゃうかもしれないじゃない!
ギャーーー!!!
絶対にバレてひどい目に遭わされるよ!
などと勝手にヤキモキ気をもむ私たちの心配をよそに、なんと誘拐・監禁・レイプ犯ニックはジョイの思惑どおり、中を見ずにトラックの荷台に載せて死体(生きてるけど)を運び出す…。
しかし、ジャックが運転席から丸見えの荷台でごそごそし始めたときは、これで終わりだと思ってドキドキ。実際、バレて捕まってしまうジャック。
そこに通行人が通りかかって…ニック、まさかの逃走。
心からホッとすると同時に、「お母さん危い!!!(→o←)」と、めっちゃめちゃ不安になりました。
また、「ルーム(部屋)」の外に初めて出て、母親とニック以外の人間と初めて遭遇し、恐怖にちぢこまっているジャックの様子が哀れすぎてめちゃめちゃ泣けました(;_;)
でも、そのあとがよかった。
通報で駆けつけた女性警官がジャックの様子を注意深く観察し(お母さんの歯を口から出したところで「なにかある」と思ったのかも)ぽつりぽつり言うことをちゃんと聞いてくれて、そこからヒントを得、お母さんのいる「ルーム」の場所を突き止めてくれたんです。
そこはホントに感激して大泣き!!!・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。ワアアアン!!!
よかった…よかった…ううぅ…
今思い出しても泣ける(;_;)
それにしても通行人に不審がられて逃げ出したニックは結局どうしたんだろう、家に帰らず遠方へ逃げ出そうとしたのかな?いずれ逮捕されるわけですが。
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さて、この映画は単なる「誘拐・監禁されていた母子の脱出劇」では終わりません。
外の世界を知らずに育ったジャックが少しずつ「世界」に慣れて行く様子や、逆に外の世界に戻っておかしくなってしまった母親(「息子を身近に置いておいたなんて自己中心的だ」と責め口調のインタビュアーが悪い!ものすごく腹立った)が回復に向かう様子が、おもにジャックの視点から描かれます。
だから正直、ジャックが主役では、と思ってしまうんだけどなあ。
最も感動した、最も好きな場面は、終盤の母子の会話のシーン。
「私はダメな母親だ」と自分を責める母に、息子はさらっと「でもお母さんはお母さんだよ」と言うんです。
それを聞いた瞬間、母親はハッとして「そうね」と、にっこりうなずく。
ここで母親の目から涙がぽろぽろっとこぼれるのもジーンときました。
お母さんって、どんなにダメな人間だと本人が思っていたとしても、子どもにとっては「お母さん」なんですよね。ダメだろうが聖人のように立派であろうが、母親はひとりしかいない。
お母さんがお母さんでいてくれるだけで十分なんだよ。それが、ジャックにとっては「当たり前」だからこそ、あのようにさらっと、間髪入れずに口をついて出てきたんだろうなあと思います。
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最後は「ルームが見たい」と言うジャックを連れてかつて監禁されていた小屋を訪れ、なんらかの区切りをつけるところで終わり。
彼らのこれからに、明るい未来が待っていることを願わずにおれません。
実際に起きた監禁事件の被害者の方々にとっても…。
最後になりましたが、ジョアン・アレンやウィリアム・H・メイシーが脇役で登場してて驚きました。
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『Room』
2015年公開
レニー・アブラハムソン監督
エマ・ドナヒュー原作・脚本
ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ主演
日本語ウィキペディア
公式ホームページ(英語)
IMDb
(※2/17/2016追記↓→日本では4/8の公開だそうです)
公式ホームページ(日本語『ルーム』)
原作本、日本でも文庫が出てるんですね↓帰国中に買ってくればよかった…。
邦題は「部屋」。原題をそのまま訳した、シンプルでいいタイトルですね〜。
映画もヘンに凝ったタイトルじゃなくてまんまルームとか部屋とかにしてくれるといいなあ。
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